【格ゲーは本当は難しくない?】検証2:たくさんの知識が必要?

▼「検証1:たくさんの練習が必要?」はこちら
https://kanpro-esports.gamer2.jp/2022/11/18/kanpro/fightinggame_for_beginner01/

前回に引き続き「格闘ゲームの敷居は本当に高いのか?」を検証していきたいと思います。

【検証2:たくさんの知識が必要?】

◆歴史と共に紡がれてきた専門用語

格闘ゲームの基礎を築いた『ストリートファイター2』(スト2)は1991年にアーケードで稼働を開始しました。eスポーツという言葉ができる前から大会やイベントが活発に行われ、20年以上続くシリーズです。

『2』から『3』、『3』から『4』とナンバリングが変わるたびに新システムや新キャラクターが導入され、常にプレイヤーを楽しませてきました。しかし、その歴史の長さゆえに専門用語も増え、初心者には分かりにくいことも増えてしまいました。

たとえば「グラップ」という言葉は「投げ抜け」という意味で使われますが、その由来は『スト3』までさかのぼります。これは「グラップルディフェンス」というシステムの略称なのですが、英語の”grapple”は”組み技”を意味するため、本来の意味と真逆な状態になってしまっています(グラップの用語解説はこちら:https://gamer2.jp/post/nage/)。


CAGどぐら選手の動画では、語源や歴史も交えて分かりやすく解説!

必殺技の固有名詞を覚えず、似たような代表的な技で呼ぶ人もいます(例:急降下技を雷撃蹴、飛び道具を波動など)。

総じて、前作や他作品の言葉をそのまま流用する文化が格闘ゲームには見られると言えますね。これは、概念を短く説明するために手っ取り早い、馴染のある言葉を使った方が分かりやすいなど様々な理由があると思います。多くの場合はコミュニケーションをより円滑にするためですが、中には語感や由来が面白く場を盛り上げるような言葉もあります。しかし、専門用語の多さが初心者がハードルに感じてしまっていることもまた事実……。

◆技、コンボ、技相性、フレーム。果てない知識の探求

格闘ゲームはリアルタイムで素早く動くため、一見動体視力や反射神経に優れている人が強そうに見えます。しかし、実際には経験や知識が重要な場面も非常に多く存在します。

初心者がまず覚えなくてはいけないことは以下のようなことが挙げられます。

・レバーとボタンを使った基本操作方法
・基本的なシステム(各種ゲージの使い方など)
・使用キャラクターの必殺技(3~5個程度)

そして慣れて来たら次のステップとして

・使用キャラクターのコンボ、連携
・相手との距離ごとに有用な技
・対空に使える技

など強くなるために必要な知識は増えていきます。

さらには

・相手のキャラクターの連携
・相手キャラクターの各技と、自分のキャラクターの技の相性

など、相手に関する知識も必要になってきます。キャラクターが少ないゲームでも8人以上、多いと40人以上。さらに各キャラクターが使用する技は細かいものも含めると20~30個近くになります。


よっさん選手の講座動画。技1つとっても語れることはたくさんあります。

知識の極致ともいえるのが、フレーム。格闘ゲームにおけるフレームとは基本的に60分の1秒を指しますが、技ごとにたとえば技が出るまでの時間(=フレーム)や、技を出した後の隙の時間などを活かすことで、確実に反撃をしたり、相手の攻撃を誘ってカウンターを喰らわせたりすることができます。

細かいフレーム数値を知識として蓄えている人もいれば、フレームをまったく覚えず「あの技にはこの技で反撃できる」とより実戦的な知識として覚えている人もいます。フレームを把握することで駆け引きの仕組みを理解することができるので、必須とは言えませんが強くなるために覚えておいて損はないでしょう。フレームはゲーム内で調べることができるものもありますが、多くの場合メーカー公式サイトやプレイヤーによる攻略サイトなどで公開されていますよ。

と、フレームの話が長くなりましたが、格闘ゲームには覚えたら強くなれる知識が無数にあるのです!

◆知識だけでは勝てない!でも、知識がないと負ける!

ここまで覚えることが多いと伝えてきましたが、知識量=強さとは限りません。格闘ゲームではとっさの判断力、操作精度、観察力など様々なスキルが重要になります。知識はあくまで強さを支える1つの要素の一つでしかありません。

しかし、知識がないと一方的に負けることも格闘ゲームではあります。1対1のゲームであるがゆえ、相手の行動に対して対応策を持っていないとそれだけで負けてしまうなんてことも実際に起こります。


レアキャラが大活躍した『UMVC3』の大会は話題になりました。

こちらの動画は、日本のクソル選手が当時対策されていなかったキャラクターを使用し、強豪ひしめくアメリカの大会で優勝したときのものです。対戦相手たちは初めてみるような動きの数々に翻弄され、思うような試合を展開できず敗北していきました。もちろん、クソル選手の実力や開発力があってこその優勝であることは間違いありませんのであしからず!

【結論:知識は無限大。大事なのは実戦に活かせるか】

ゲームはeスポーツと称されるほど競技性が高く、数多のプレイヤーによって日々研究されています。格闘ゲームは特に一つのキャラクターでできることが多く、それに比例して情報・知識も多いのは事実です。

しかし、決して知識量=強さとは限りません。というのも、知識を実戦で活かせなければ強さには繋がらないからです。

では、どうやって知識を得ていけば良いのか、知識と付き合っていけば良いのかをお伝えしたいと思います。

◆レベルに合わせて知識を入れる!

最初からすべてを覚えるのはまず無理です。

今ではネットを通じて難しい駆け引きや上級者の考え方まで簡単に知ることができるので、ついついマネしてみたくなってしまいがち。しかし、背伸びし過ぎず、まずは焦らずに、自分が実戦に活かせる知識を入れていきましょう!

まずは感覚でプレイし、壁を感じたときに知識や情報に頼るというのも方法の1つですね。

◆楽しみながら覚える!

先に紹介したどぐら選手の用語解説動画をご覧になれば分かるように、格闘ゲームの専門用語は由来が面白いものが非常に多いです。また、知識を得ることで理解できるようになる仕組みも多く、興味深く感じる人も多いはず。

あまり身構えずに、動画や実戦、さらには歴史やエピソードを楽しんでいれば、自ずと知識は身についていきますよ!